愛・地球博 インド館を中心に

 現在、愛知県で愛・地球博(愛知万博)が行われている。普段はDelhite(デリーっ子)の僕も、その実体は何を隠そう愛知県民であるので、日本帰国中に愛・地球博に足しげく通った。合計5日間行ったことになる。およそ8〜9割のパビリオンは制覇したと思う。やはり個人的に気になるのは、グローバル・コモン1にあるインド館である。インド館には知り合いが数人働いていることもあり、インド館を拠点に万博を廻った。

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万博会場
展・覧・車より


 5回も万博へ行ったので、グローバル・コモンにある世界各国のパビリオンは全て見て廻ることができた。やはり日本人に人気の高い国が集まるグローバル・コモン3(ヨーロッパ)が人気で、その中でもドイツ館が一番人気であった。ドイツ館には1時間並んで入った。ちょっとしたジェットコースターのようになっていて面白いが、展示物にはあまり必然性を感じなかった。意外性があって僕が一番面白いと感じたのは、クロアチア館である。何の説明もなく20分くらい待たされ、何の説明もないまま進んでいくという、不思議なパビリオンであったが、突然動き出したエレベーターに乗って上がった上階から眺める映像は美しく、一応ストーリーがあり、独創的だった。地下岩塩坑を再現したポーランド館も印象的だった。アフリカ各国の小さなブースがひしめき合うアフリカ共同館も面白かった。聞いたことがないような国も多数参加しており、いったいどこにある国なのか地図で確認しながら見て廻るのが楽しかった。
 しかし、これら各国館はどうしてもその国の文化や国力、または気合の入れ方の差などが如実に出てしまうものだ。例えば、シンガポール館はスコールが体験できるのが売りだったが、僕は逆に、スコールを売り物にしなければならないシンガポールの深みのなさを感じてしまった。やたら最先端技術の誇示に固執する韓国館からも、コンプレックスを感じた。
 その点、インド館は、長い歴史と豊富な文化を反映して、盛りだくさんの内容だった。愛知万博のテーマは「自然の叡智」。そのテーマを踏まえ、インド人と自然の関わり合いの深さをメインに据えると同時に、仏教、ジャイナ教、ヒンドゥー教などインドで生まれた宗教の解説や、ヨーガ、アーユルヴェーダ、インド舞踊などの説明、そして現代インドの最新ファッション、インテリア、最先端技術の紹介など、全く死角がなかった。実は、インド館の展示に関しては、企画段階で僕も少し関与していた。当初は、仏舎利をメインに展示する計画が進んでいた。仏舎利、つまり、お釈迦様の骨である。デリーの国立博物館に、お釈迦様の骨と伝えられる仏舎利があり(学術的には信憑性がないとか)、それを借りて愛知万博で展示すれば、けっこう日本人を呼び込めるのではないかと考えていたが、うまくいかずにポシャってしまった。タージマハルの巨大な模型を展示するというベタな計画もあったが、最終的には菩提樹をメインにすることになった。今思えば、これでよかったのではないかと思う。インド館の中心部にある菩提樹の模型の周辺は、インドの村に必ずあるバイタク(またはチャウパール)のように、人々が座ってくつろげる環境となっており、お伽話のような不思議な映像が流されていた。インド館の2階は、イベントスペースになっていると同時に、売店がいくつか並んでいる。これらの売店で売られているものは、インドの土産物屋でよく売られているものばかりである。言い換えれば、インドで買うならまだしも、日本でわざわざ買う気のしないようなものばかりだ。彼らは日本人が何を欲しているのかよく調べずに、これらの商品を持って来てしまったようである。また、1階の出口付近には、「Bollywood Masala」というレストランがある。デリーでアシアド・タワーというレストランを経営しているジャンカール・グループという会社が出店している。インドのカレーというのは、何だかんだいって日本人にはポピュラーな食べ物のようで、客の入りは上々らしい。日本人向けに辛味は抑えられている。もうちょっとチキンをうまく料理してもらいたいが、ナーンはおそらく日本最高レベルぐらいにうまい。これは裏情報だが、このレストランのレジ近くで売られている「ヒマラヤの岩塩」のパッケージのデザインは僕が手掛けた。ものすごく適当に仕上げてしまったので恥ずかしいのだが・・・。しかし、どうやら他の国の人には、岩塩が売り物になるという発想があまりなかったようだ。インド館で岩塩を売っているのを見て、他のパビリオンも真似して岩塩を売り始めたという。おかげでインド館の岩塩の売上が落ちてしまったとか・・・。

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インド館
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菩提樹
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ヒマラヤの岩塩

 7月20日はインドのナショナル・デーだった。EXPOホールでイベントがあり、僕は式典とチャウ・ダンスを見物した。チャウ・ダンスはビハール州の民俗舞踊である。解説によると、マハーラージャーに仕えた兵士たちが踊っていたダンスらしい。基本的に仮面をかぶって踊るが、ユッディヤという剣や盾を持って数人で戦う仕草をする演武的な踊りもあった。月と太陽の恋愛をテーマにした舞踊や、ヴィシュヌの信者であるガルールとヴァースキの戦いを描いた舞踊など、盛りだくさんであった。チャウ・ダンスを見たのは初めてだったが、なかなか素晴らしいダンスだった。

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チャウ・ダンス
演目は「ユッディヤ(演武)」

 実は、Bollywood Masalaで働いているインド人たちの下宿にもお邪魔させてもらった。彼らは万博会場から30分ほどの地点にある東郷町というところに住んでいる。「インド人はどこに行ってもインド人」という格言があるが、まさにそれを地で行くような逞しさと共に、日本での生活を送っていた。

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下宿の厨房
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寝るインド人
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サモーサーを作るインド人

 さて、万博の最大の見ものは何と言っても企業パビリオンである。企業パビリオンの全てを見ることは叶わなかったが、それでもけっこうな数のパビリオンを体験することができた。その中でもずば抜けて素晴らしかったのは、やはりトヨタグループ館。ロボットや未来型乗り物が共演するショーである。朝一番で行ったので、最前列に座ることができた。日本のロボット技術のすごさを改めて思い知ったのだが、「ターミネーター」などの映画が好きな僕は、恐怖も感じた。トヨタグループ館のロボットたちは、かわいいデザインと色使いがされており、極力そういう恐怖感が抑えられていたが・・・。
 三井・東芝館もすごい。予め観客の顔がスキャナーで取り込まれ、それが後に上映される映画の中に登場するというものだ。これも朝一番で行ったため、最初の回の映画に参加することができた。普通は1人1役なのだが、朝一番の回は人数が少ないので、僕は3役出演することができた。映画はSFもので、地球を捨てて宇宙へ移住した人類の末裔が地球に帰るというものである。なんかくさいストーリーだった。このシステムを恋愛映画やコメディー映画に採用したら、もっと面白いのではないかと思った。
 日立グループ館の立体映像もすごかった。夢みる山の「めざめの方舟」は全くの駄作であった。JR東海超伝導リニア館の3Dシアターは退屈であったが、超伝導とリニアの仕組みが分かるラボの方は楽しかった。その他、企業パビリオンでは、三菱未来館@earth、ワンダーホイール展・覧・車などを見た。
 その他のパビリオンの感想も述べておく。一応、愛知万博の目玉であるマンモスは、はっきり言って大したことない。それよりも、マンモスラボに入る手前のブルー・ホールにあるソニーのレーザー・ドリーム・シアターの方がすごい。高さ10m×幅50mの世界最大スクリーンに映し出される映像は迫力がある。長久手日本館にある360度全天球型映像システムもド迫力だ。まるで自分が空を飛んでいるかのような気分になる。卵のような繭のような外観もいい。瀬戸日本館で演じられる「一粒の種」は賛否両論のようだが、僕は「否」の方だった。見ていて恥ずかしくなった。日本ってこんなものしか見せるものがなかったっけ?と首をかしげた。瀬戸愛知県館は、カマキリとか昆虫の顔がドアップでスクリーンに映し出されるので、虫に弱い人は要注意であろう。サツキとメイの家には入ることができなかったが、展望台から眺めることができた。思っていたよりも小さな家だった。地球市民村にあるアースドリーミングシアターは、昼寝するには絶好の場所だ。暑い日の日中は、僕はここで一眠りしていた。
 ちなみに、万博の各パビリオンにはスタンプが置いてあり、スタンプ集めを楽しむことができる。僕は会場の売店で500円で売られている「愛・地球博ワールドスタンプ・パスポート」を購入し、スタンパーと化して各パビリオンのスタンプを血眼になって集めた。おかげで、全体の9割くらいのスタンプは集めることができたと自負している。万博八草駅にあるスタンプや、森の自然学校にあるスタッフ手作りスタンプなど、けっこうレアなスタンプも集めた。ただ、スタンプの数はどんどん増えているので、本当に全部集めようと思ったら、万博が閉幕する9月25日の直前まで各パビリオンを廻り続けなければならないだろう。

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3 Responses to 愛・地球博 インド館を中心に

  1. Nobuko says:

    「岩塩」ではなく「ガンジーの塩」とでもして海の塩ではどうだったかしら?????他の国は真似できません。Gujaratには行った事ありませんが、南インドのChennaiかpondicherryの間の海岸に見渡すかぎり限りなく続く塩田がありました。精製前の塩を頂いてきました。
    炒ってからすり鉢ですって使ってます。美味い!
    コメントの書き込みは初体験!
    Trackbackって何? 

  2. arukakat says:

    コメントありがとうございます。
    「岩塩」と書いて「ガンジオ」と読ませ、
    ガンジーとかけるというアイデアもありましたが・・・
    それも結局採用されませんでした。
    どうやら岩塩は、インドでは「ヴェジタリアンの塩」と呼ばれているようです。厳格な菜食主義者は、海から採れた塩を摂取しないとか。海には生き物がいますので。

  3. ダール says:

    Nobuko改めダールです。悪い事してる訳では無いのに、自分の名前を見るのは良い気分じゃ無かった。改名にします。
    「厳格な菜食主義者は、海から採れた塩を摂取しないとか」そうですか・・・・さすが博識ですね。インド人よりインドに詳しいのでは・・
    この事を知っているインド人って、どのくらいいるのかしら?
    もっとも、私より日本に詳しい外国人も星の数ほどいるでしょうから・・・
     インドについて、何かひとつでも知る事が出来ると嬉しいです。ありがとう!
    気を付けてデリーへお戻り?下さい。

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