アイシュワリヤー、マーングリク除去のブランドアンバサダーに

 インドでは散々報道されているが、4月20日、アビシェーク・バッチャンとアイシュワリヤー・ラーイはめでたく結婚した。父アミターブ・バッチャンは押しも押されぬ「ボリウッドの皇帝」。アビシェークは今一番勢いのある男優である。そして母ジャヤーも最近ではお母さん女優として時々映画に出演している。こうしたことから、バッチャン家のブランドバリューは70億ルピーと算出されていた。そのバッチャン家に、ジュリア・ロバーツに「世界で最も美しい女性」と言わしめ、国際的に活躍している女優アイシュワリヤー・ラーイが嫁ぐことになった。アイシュワリヤーのブランドバリューは50億ルピーと言われている。つまり、アビシェークとアイシュワリヤーの結婚により、バッチャン家のブランドバリューは120億ルピーに跳ね上がったことになる。
 ネルー・ガーンディー王朝という観点でもこの結婚は普通の結婚ではない。公然の秘密だが、アミターブ・バッチャンはジャワーハルラール・ネルー初代首相の隠し子である。インドでは長男を後継者として重視する傾向が強い。ネルーの後を継いだのは娘インディラー・ガーンディーだが、もしバッチャン家が血筋の正統性を主張すれば、ソニア・ガーンディー国民会議派党首の血筋は傍系ということになってしまう。つまり、アビシェークとアイシュワリヤーの間に生まれる子供は、もし封建主義の社会ならば(インドではまだ封建主義は完全に終わっていない!)、インドという王国の正統な王位継承者なのである。


 ところで、以前の記事で、アイシュワリヤーがマーングリクであると書いた(マーングリクについても同記事を参照)。どうもこの結婚により、インド人の間にマーングリクに対する意識が高まり、アイシュワリヤーは期せずして一躍マーングリクの「ブランドアンバサダー」に祭り上げられてしまっているようだ。4月21日付けのタイムズ・オブ・インディア紙による。
 マーングリクを除去する方法は占星術師によってまちまちのようだが、一般的には実際の結婚式の前にその女性を樹木、動物、神様などと結婚させる方法が取られるようだ。これを「クンブ・ヴィヴァー」と呼ぶ。アイシュワリヤーもアビシェークと結婚する前に3回クンブ・ヴィヴァーしたと言われる。ヴァーラーナスィーではピーパルの木(インドボダイジュ)と、バンガロールではバナナの木と、アヨーディヤーでは神様と結婚式を挙げた。このニュースは、マーングリクの娘を持つ家族や、マーングリクの女性自身に影響を与えたようで、占星術師のもとにはマーングリク除去の儀式に関する問い合わせが殺到していると言う。しかも驚くべきことに、教養のあるモダンな女性からの問い合わせが多いらしい。
 マーングリクのような、一見すると女性差別的な習慣は、近代化とグローバル化により徐々に失われていくかと思われたが、モデル・女優というモダンな職業に就くアイシュワリヤーが古い習慣に従ったことにより、むしろこれからインド人の間でリバイバルされていくように思われる。また、マーングリクでもアビシェークのようないい男性と結婚できることは、マーングリクの女性たちに勇気を与える出来事だったのかもしれない。アビシェークとアイシュワリヤーの結婚がインド社会に与える影響の中で最も大きそうなのは、マーングリクの復興と言ってよさそうだ。

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13 Responses to アイシュワリヤー、マーングリク除去のブランドアンバサダーに

  1. キーニョン says:

    はじめまして。これでインディアは何年も読ませて頂いて、楽しませて頂いています。
    エクスプレスは最近気が付きました。
    アイシュの結婚など知りたかった事が書かれていて、すごく嬉しいです。
    個人的にはアイシュの元彼達の話が楽しかったです。
    これでインディアはすごく勉強になりますし、エクスプレスのように軽い話題も知りたかったので、インドについては敵無しの気分です。
    これからもよろしくお願いします。

  2. arukakat says:

    >キーニョンさん
    ご愛読どうもありがとうございます。
    しかし、エクスプレスは最近気が付いた、というのが気になります。
    そんなに気付かれにくかったでしょうか?
    宣伝が足りなかったかもしれません。
    改善するようにします。

  3. しきち says:

    アビ・アシュ報道はまだまだ続くでしょうね。日本の芸能人の結婚と比べ、報道陣締め出し傾向が強いのが面白いのですが、せっかくの二人の姿が、ネット上ではリムジンの外から無理矢理撮影したような写真などしか見ることができないのは残念です。
    マーングリク女性に希望を与えた、というのはあるかもしれませんね。さらに、33歳で、2つ年下の男性との結婚、というのも30代独身女性には朗報かもしれません。
    ところで、これでインディアの2002年の記事で「アイシュワリヤとサルマーンの結婚」について触れられていましたが、本当に結婚の事実はあったのでしょうか?サルマーンは今度はカトリーナと結婚したなどという報道もありますねぇ・・・。どうやら噂だけだったようですが。

  4. 小泉純一郎 says:

    こんにちは。
    今回の記事ですごく気になるのですが
    アミターブ・バッチャンがネルー首相の隠し子だというところです。かなり個人的には衝撃的なので、インド人社員に聞いたところ、みんな知らないようでした。お客さんも違うといいますが、もう少しこの部分について教えてもらえませんか?なぜ隠し子にする必要があったのか?正妻の子ではないということですかね?
    すごく気になります。

  5. ウィルビィ says:

    小泉さん、その辺の話でしたら、Arukakatさんの日記「バッチャンの髭の秘密」2005年6月11日を読まれることをお薦めします。
    アイシュは、結婚後「アイシュワリヤ・バッチャン」にして「ラーイ」を間に挟まないことにしたようですが、ある記事で「もしアビシェークがラーイ姓を名乗るとしたら、面白い。なぜなら、彼の祖父(詩人のHarivansh)は1950年代にRai姓からBachchanに名前を変えたのだから。彼がそれを元にもどすことになる。」とありました。
    あの二人…遠い親戚?ってことは無いですよね???

  6. arukakat says:

    >小泉さん、ウィルビィさん
    返信が遅れて申し訳ありませんでした。ウィルビィさんのおっしゃる通り、以前「これでインディア」で取り上げましたので、そちらをご覧下さいませ。
    ただ、最近の若いインド人はその事実を知らない人が多いかもしれません。僕も身近な友人数人に聞いてみましたが、知っている人は少なかったです。しかし、ネルーやハリヴァンシュラーイ・バッチャンの時代を生きた人なら誰でも知っていることと聞きました。インドでは不思議と女性問題などはあまり政治家のアキレス腱にならないことが多いようです。みんな何かしら汚点があるようなので・・・。

  7. arukakat says:

    >ウィルビィさん
    「ラーイ」というのは元々「王」という意味で、称号みたいなものです。何か功績のあった人に与えられたりしたようです。日本でも中世にそういう習慣がありましたよね。「〜守」とか「〜衛門」とか。
    よって、ラーイ姓を名乗る人はいろいろなコミュニティーで見受けられます。バッチャン家とアイシュワリヤー・ラーイの家系が親戚というのはありえません。
    ハリヴァンシュラーイ・バッチャンがバッチャン姓を名乗るようになったのはむしろ、シュリーワースタヴという姓を隠すためです。シュリーワースタヴはカーヤスト・カーストの典型的な姓です。

  8. arukakat says:

    >しきちさん
    当時、アイシュワリヤーとサルマーン・カーンは付き合っていたので、結婚の噂は出ていたと思います。今ではサルマーンはカトリーナ・カイフと付き合ってますね。

  9. シャルマ says:

    全然関係のない話ですが、書くとこがここしかないしどうしても言いたいので・・・arukakatさんはさくらももこの「さるのこしかけ」っていう本を知ってますか?こないだ読んだんですけどマジにムカつきました。だってインドの事をボロクソにいってんですから!確かにインドで嫌な目にあったってことは同情するけどあれは酷すぎです!arukakatさんも、読まれてなかったら読んだほうがいいですよ。インドが好きな人にはたまらん(泣)

  10. キーニョン says:

    カンヌ映画祭常連のアイシュがアビシェークと一緒に会場にいる姿がテレビに映っていました。
    レッドカーペットではアイシュ一人だったようですが、会場では二人が仲良く話してるショットが映って、嬉しかったです。
    また去年はプリティがカボチャみたいなドレスで太ったオバチャンのようでしたが、今年は来たのでしょうか。
    今年はカンヌでインドの映画を特集するような事をレポーターは言ってましたが、テレビでは詳しい事は分かりませんでした。
    インドではカンヌ映画祭の事は話題になったりしていますか。

  11. arukakat says:

    >シャルマさん
    さくらももこさんの著書はいくつか読んだことがありますが、それが「さるのこしかけ」だったかどうかは覚えていません。何が書かれていたのでしょうか???
    >キーニヨンさん
    カンヌ映画祭はボリウッドの映画メーカーの間でステータスシンボルのようになって来ています。既にボリウッド映画は世界で独自の地位を築いていると思うので、わざわざそんなところへ出向いて大喜びする必要もないように思えるのですが・・・。

  12. Jannat says:

    はじめまして。主人がバングラデシュ人で私もボリウッドは好きなので多少はボリウッドのニュースもBBCなどで目を通しております。
    このHPは昨日、日経の夕刊でarukakatさんのことが載いたのでアクセスしてみました。現地発の情報とはいえ、お詳しいですね。私でも知らないことがたくさん。
    アイシュワリヤもついに結婚しましたね〜。私は最初にHum Dil Di Chuke Sanam(合ってます?)を見たときにアイシュワリヤのゴージャスさにため息が出ました。
    最近娘が生まれたのですが、主人に似て美人!将来、第二のアイシュワリヤになってくれれば!という野望が芽生えました(爆笑)。
    これからもちょくちょく来させていただきます。よろしく〜。

  13. arukakat says:

    >Jannatさん
    しばらくコメントを放置してしまいまして申し訳ありませんでした。
    日経の夕刊を見ていただいたようで、恐縮です。最近のボリウッド映画はなるべく見るようにしています。
    娘さんが映画デビューに成功されることを祈っています。

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