世界で最も成功した映画は「Awara」?

 10月1日付けのヒンドゥスターン紙に、「『Awara』は世界で最も成功した映画!」との記事が掲載されていた。
 ラージ・カプール監督主演の「Awara」(1951年)は、インドはおろか世界各地でヒットしたことで知られている。特にソ連、東欧、中国などで熱狂的に受け容れられた(この記事も参照)。確かに、歴代のインド映画の中で最も国際的な人気を博したのは、この「Awara」以外にはないだろう。

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Awara


 だが、この映画がハリウッドの並み居る名作を押しのけて、「世界で最も成功した映画」と称せられるのは、いかにボリウッド映画ファンであっても、戸惑いを隠せない。「成功」は非常に抽象的な言葉だが、ここでは、「最も多くの人に見られた映画」ということのようだ。ハリウッドのいくつかの名作映画の方がより多くの人に見られているような気がするのだが、単純に、インド、中国、ソ連(ロシア)の人がみんな「Awara」を見たと仮定すると、もしかしたら地球上の人口のかなりの割合を占めるかもしれない。新聞記事には、その根拠が詳述されていなかったが、英セント・アンドリューズ大学の教授や映画専門家が研究した結果、そういう結論に辿り着いたらしく、決してインド人の大言壮言ではない。どうやら元記事はSouth Asian Popular Cinemaという雑誌に掲載されたようなのだが、ネットでは見つけられなかった。
 また、同じ新聞記事には、現在ボリウッド映画が、南アジアや英国、米国はもとより、ギリシア、ブルガリア、アフリカ、トルコなどで上映されていることも追記されていた。インドに来ている留学生と話していると、意外な国の人が実は子供の頃からのボリウッド・ファンであることに気付くことがある。ボリウッド映画が世界で一体どのくらい普及しているのか、一回真剣に調べてみたいものだ。
 ちなみに、米タイムス誌が選ぶ名作映画百選には、「Awara」は入っていない。その代わり、インドからは、サティヤジート・ラーイ(サタジット・レイ)監督のオプー三部作「大地のうた」(1955年)、「大河のうた」(1956年)、「大樹のうた」(1959年)、マニ・ラトナム監督の「Nayakan」(1987年)、グル・ダット監督の「Pyaasa」(1957年)がランクインしている。
 話は飛ぶが、神谷武夫氏の名著「インド建築案内」のオビには、「インドを知らずして建築を語るなかれ」みたいな自信満々の宣伝文句が書かれていたように記憶している(オビはなくしてしまったので定かではない)。その内、それと同じように、「インドを知らずして映画を語るなかれ」と、インド映画を馬鹿にしがちな日本の映画愛好家たちに堂々と宣言することができる日が来るかもしれない。

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